各種助成金の給付が受けられる

この記事で分かること
  • 障がいのある方を雇用した場合の助成金
  • 障害者雇用納付金制度に基づく助成金
  • 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

障がい者を雇用すると受け取れる助成金とは?

障がい者を雇用する場合、どのような助成金を受け取れるのか気になるものです。大きく分けると以下の場合に助成金を受け取ることができます。

  • 障がいのある方を雇い入れた場合
  • 施設などの整備や適切な雇用管理の措置を行なった場合
  • 職業能力開発をした場合
  • 職場定着のための措置を実施した場合

ここでは、障がい者を雇用すると受け取れる助成金を一覧にしてご紹介します。

障がいのある方を雇用した場合の助成金

特定求職者雇用開発助成金

特定求職者雇用開発助成金とは、特定の条件を満たした求職者を新たに雇用した企業に支給される助成金のことであり。障がい者の雇用助成金には特定就職困難者コースや発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースがあります。それぞれのコースについて詳しくご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金を受けられる事業主の条件は、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れることです。1人あたりの支給額は重度障がい者等を除く身体・知的障害者120万円、助成金対象期間は2年、4期に分けて支給されます。重度障がい者等(重度の身体・知的障害者、45歳以上の身体・知的障害者及び精神障害者)の支給額は240万円、助成金対象期間は3年、6期に分けて支給されます。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html)

特定就職困難者コース

特定就職困難者コースの対象労働者は「短時間労働者以外」と「短時間労働者」の2つのタイプがあります。短時間労働者以外は、30時間以上の労働者で、短時間労働者は1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者を指しています。

短時間労働者以外の支給額については上記に記載している通りです。短時間労働者に支給額は身体・知的障害者、重度障がい者等(重度障がい者・精神障がい者・45歳以上の障がい者)とも80万円、助成対象期間2年、20万円を4期に分けて支給されます。

中小企業以外の事業主については、短時間労働者以外の場合(身体・知的障害者)支給額50万円、助成対象期間1年、25万円×2期、(重度障がい者等)支給額100万円、助成対象期間1年6か月、33万円×3期に分けて支給されます。ただし、第3期の支払額は34万円です。短時間労働者は身体・知的障害者、重度障がい者等ともに支給額30万円、助成対象期間1年、15万円×2期となっています。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/tokutei_konnan.html)

難治性疾患患者雇用開発コース

発達障がい者または難治性疾患患者を継続雇用する事業主に対する助成であり、助成金を支給するにはハローワークなどを通じて対象労働者を雇用することとなっています。支給条件は、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用すること、雇用期間が継続して2年以上であることが確実だと認められる事業主であることです。

事業主には雇用した労働者が効率的に働くために配慮されているかどうかを報告することが義務づけられており、雇用から半年経つとハローワークの職員による職場訪問を受けることになります。

発達障がい者と難治性疾患患者の場合、短時間労働者以外の支給額は120万円を2年間(30万円×4期)、短時間労働者は80万円が2年間(20万円×4期)支給されます。

中小企業事業主以外では、短時間労働者以外の支給額は50万円を1年間(25万円×2期)、短時間労働者の場合は30万円を1年間(15万円×2期)支給されることになっています。

支給対象期ごとの支給額は、対象労働者が行った労働に対して支払った賃金額が上限となっており、事業主が「最低賃金法第7条」である最低賃金の減額特例許可を受けている場合の支給対象期は、対象労働者に対して支払った賃金に助成率を掛けた額となります。助成率は、中小企業1/3(中小企業以外1/4)です。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/hattatsu_nanchi.html)

トライアル雇用助成金

障がい者トライアル雇用とは、障がい者を原則3か月間試行雇用することで適性や能力を見極め、継続雇用のきっかけとなることを目的とした制度です。

トライアル雇用助成金は、障がい者を一定期間雇用した事業主、または、週20時間以上の勤務が難しい精神障がい者や発達障がい者を20時間以上の勤務を目指して一定期間雇用する事業主に対して助成金が支給されます。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial.html)

障害者トライアルコース

障がい者トライアル雇用の対象者は、継続雇用する労働者として希望している人であってもこの制度を理解し、障がい者トライアル雇用による雇用を希望している人です。次に記載しているいずれかに該当していることも条件となります。紹介日時点で就労経験のない職業に就くことを希望している、紹介日の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している、紹介日の前日時点で離職している期間が6か月を超えていることです。ただし、重度身体障害者や重度知的障害者、精神障害者の方は上記の要件を満たさなくても対象となります。

事業主はハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介であること、障がい者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出をおこなうことが条件です。

受給額は支給対象者1人につき、対象労働者が精神障がい者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)です。それ以外は月額最大4万円(最長3か月間)となっています。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial.html)

障害者短時間トライアルコース

障害者短時間トライアルコースは継続雇用する労働者として雇用することを目的としたコースです。雇用時の週の所定労働時間は10時間以上20時間未満で、障がい者の職場適応状況や体調を見ながら労働時間が20時間以上になることを目指しています。

対象労働者は継続雇用されることを希望しており、障害者短時間トライアル雇用制度を理解し障害者短時間トライアル雇用によることも希望している精神障がい者または発達障がい者です。

事業主はハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすることが条件です。受給額は支給対象者1人につき、月額最大4万円(最長12か月間)が支給されます。

参考元:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial.html)

施設などの整備や適切な雇用管理の措置を
行なった場合の助成金

障害者雇用納付金制度に基づく助成金

事業主が障がい者を雇用するにあたって、施設や設備の整備をはじめ、適切な雇用管理のために必要な措置を取らなければ、新規雇用や継続雇用が難しいとされる場合に受け取れるのが、障害者雇用納付金に基づく助成金です。

この助成金は予算の範囲内で支給されることになっています。通勤を容易にするための措置やICTの利用についても対象となっているのが特徴です。

参照元:厚生労働省 (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html

職業能力を開発した場合の助成金

人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)

障がいのある方の職業に必要な能力を向上させるための訓練に要する助成金です。教育訓練を継続して行う施設の設置や運営する事業主、事業主団体が受給できる助成金だとされています。

訓練対象となっている障がい者は、以下の通りです。

  • 発達障がい者
  • 身体障がい者
  • 知的障がい者
  • 精神障がい者
  • 高次脳機能障がい者
  • 難治性疾患を有する者

障害者職業能力開発訓練事業のための要件が10項目あり、すべて満たしている必要があります。支給額は、施設または設備に関連するものと、運営費に関するものの2種類があります。

参照元:厚生労働省  (https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/shougai_trial_00002.html

職場定着のための措置を実施した場合の助成金

障害者雇用安定助成金(障害者職場定着コース)

このコースでは、事業主が障がい者の特性に応じて、雇用管理や雇用形態の見直しを行ったり働き方の工夫を試みたりするなど、職場に定着できるよう措置を講じたときに支給されるのが特徴です。

職場定着に向けた措置には、以下のことが挙げられます。

  • 短時間勤務をしている方へ勤務時間の延長を行う
  • 職場支援員を配置する
  • 職場復帰に向けた支援
  • 中高年で障がいのある方への雇用継続支援  など

参照元:厚生労働省  (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07078.html

まとめ

障がい者のある方を雇用する場合、施設などの整備や適切な雇用管理の措置を行なったときや、職業能力開発をした際などに助成金を受け取れます。障がいのある方を雇用した場合、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)と呼ばれるものを受け取れるのが特徴です。

障がいのある方を試験的に雇用した事業主または週20時間以上の勤務が難しい精神障がい、発達障がいのある方を、20時間以上勤務できるよう試行雇用を行っている場合は、トライアル雇用助成金を受け取れる可能性があります。対象労働者や雇い入れの受給条件を満たしている必要があるため、確認しておきましょう。

上記のほかには、職場に定着できるよう措置を講じたときに支給される助成金もあるので、そのような助成金を活用していくことが望ましいです。

障がい者に対する環境面での配慮は、身体・精神・知的など、種別によって異なります。同じ種別の障害や診断名であっても、障がいによる症状や困りごとが違う可能性があるため、注意しなければなりません。障がいのある方を雇用する際は、一人ひとりに合った支援や環境整備を心がけましょう。