最近、さまざまな場所で見聞きするのがダイバーシティという言葉です。皆さんも1度は聞いたことがあることでしょう。
これは多様性という意味を持ち、企業経営においては人種や民族、国籍、性別、年齢などを問わず多様な人材を活用する働き方のことです。障がい者と一緒に働く上では、職場環境や指導方法など様々な取り組みが必要なので、一時的には企業の負担は増えやすいです。
しかし、長期的にみれば、このように職場環境を整えていくと多様な人材の受け入れに繋がります。従来型の正社員だけではなく、子育てや介護などさまざまな制約を抱えながら働く人の活躍にスポットを当てることにも繋がるはずです。
ビジネスの場面においては、グローバル化に伴い、これまでの価値観に基づいた組織運営を行うだけでは多様化している市場ニーズの把握は困難とされています。そのような状況にある中で、企業に求められているのが多様な考え方や価値観、能力を持つ従業員なのです。
障がいといっても、種別や程度によって得意・不得意が異なります。例えば、ASDの場合、他者とのコミュニケーションが苦手な特性がありますが、1つのことに抜群の集中力を発揮する能力を持ちます。
障がいのある方の向き・不向きを熟知したうえで、適切な部署へ配置することによって、新しいサービスや商品の開発に役立つなどのメリットも期待できるでしょう。
障がい者とともに働くことで違いに気づいたり、お互いの理解を深めて配慮しようという助け合いの精神を育んだりすることにも繋がります。
障がいの特性を理解しようと務めていくことで、障がい者の「個性」を知ることに繋がるでしょう。障がい者雇用を行うことによって、企業内の強固な組織作りにも役立つはずです。
資格がなくてもできる薬剤師サポート業務を担当している事例。薬剤師の仕事は、患者への薬の説明をする服薬指導や医師・看護師とともに治療法を検討する会議への参加、薬品の管理や発注などと業務が多岐にわたります。
多くの業務を抱える中、薬剤部で障がい者雇用を拡大したことによって、薬剤師が患者のもとに行き服薬指導に時間を取れるようになりました。これは、働き方改革にも繋がっているとも考えられます。
参照元:リタリコ(https://works.litalico.jp/interview/company/kantoh_johas/)高島屋横浜店における事例。同店のワーキングチームには身体や知的、精神障がいがある16名の社員が在籍しています。主な仕事の内容は、カタログの封入作業や資料のホチキスどめ、伝票の押印、ギフト箱の組み立てなどです。
ワーキングチームの業務は、売場支援となっており、以前は売り場のバックヤードで販売員が行っていた作業をワーキングチームが担うようになりました。その結果、販売員が接客する時間が増え、顧客サービスの向上につながっています。
障がい者を企業に迎え入れるためにはサポート体制や環境を整える必要があり、一時的には企業の負担は増しやすいです。しかし、障がい者の個性(特性)に対する理解を深めて、適性のある部署へ配属するなど工夫をすることで生産性を高めることに繋がります。
以上のことから、強固な組織作りを目指している企業や、働き方改革を考えている企業がメリットを得やすいと考えられます。