障がい者雇用に前向きに取り組んでいる企業でも「障がい者に適した業務の切り出しができていない」「採用をしても短期間で退職してしまう」「業務を教えるための現場の負担が大きい」といった課題に悩むケースが少なくありません。
農園型障がい者雇用支援サービスには、そうした課題を解決できる可能性があります。どんなメリットがあるのか見ていきましょう。
農園型障がい者雇用支援サービスでは、運営会社側が一般就労を希望する障がい者を募集・紹介してくれるため、比較的スムーズに雇用開始ができます。
また、運営会社は就労を希望する障がい者に対して、就労に向けた見学・体験会の実施や、実際の農作業を経験してもらう機会を設けるなど、業務に対する理解を深める努力をしています。そのため、採用後すぐにでも実務に取り組める障がい者を紹介してもらうことが可能になります。
法定雇用義務のある企業にとっては、雇用の具体的な計画が立てやすく、かつスムーズに採用を進められるというのが、大きなメリットのひとつになるでしょう。
農園型障がい者雇用支援サービスでは、障がい者の就労に精通した専門スタッフによる定期巡回が徹底されています。農業の作業内容のアドバイスはもちろん、障がい者一人ひとりの特性を鑑みながら、安定した就業環境を保ってくれます。
障がい者と企業側の担当者のコミュニケーションに対してのサポートも行ってくれるため、通常の自社の社員と変わらない関係性を構築できるのです。
また、農園の作業環境・作業内容は可能な限り身体的な負担が軽減されるように考えられています。インフラの整備や送迎など、障がい者にとって働きやすい環境を整えることで、定着率も安定しています。
企業が農園型障がい者雇用支援サービスを利用することは、多様な障がい者の雇用機会の創出につながります。これは「経済」「社会」「環境」の3領域からなるSDGsの項目にも該当するため、企業にとっては社会貢献活動としてのアピールが可能です。
また、従業員の障がい者雇用への理解を深める研修の場としての活用も考えられます。収穫した野菜の寄付による社会貢献や、社内配布から生まれる農園社員とのコミュニケーションを通した『健康経営』の推進にも寄与し、農園で働く障がいのある方を起点としたイノベーションの創出にもつながっていくでしょう。
障がい者を雇用すると、企業全体において生産性が向上したり、業務の効率化が図れたりするというメリットが期待できます。障がい者雇用を行うため業務を見直すと、以下のような改善点を見つけられます。
障がい者雇用を促進していくと、必然と現在の業務の見直しにつながり、業務全体の改善につながります。それだけではなく、コスト削減や時間の有効活用にもつながるはずです。しかし、障がい者雇用にこれから注力していく企業の場合「どのような業務を依頼すればいいのかわからない」と悩んでいるケースも少なくありません。
効率よく業務改善を推進していくためにも、障がい者雇用における業務の切り出しについて、スタッフで理解を深めておく必要があります。
業務の切り出しを行う上では、いくつかの注意点があります。
切り出した業務内容が、どのような人材に適しているのか見極め、ミスマッチが起きないように注意することが重要です。例えば、働く意欲や職務能力の高いスタッフには、経験や意思決定が必要な業務を任せるようにし、一定以上の配慮が必要なスタッフには、マニュアル化されていて理解しやすい業務を準備しておく必要があります。
障がいを抱えているスタッフと一緒に働くことは、多様性のある企業に近づくための組織づくりを目指せます。多様性のある企業においては、国籍や人種はもちろん、障がい、ライフスタイルにも考慮し、多種多様な人材の雇用を推進しています。障がい者雇用を進めていくと、企業も新しい価値観を生み出して業務に活かしていけるでしょう。
新しい商品開発がなかなか進まない企業は、障がい者雇用を進めていくことによって業務効率の改善策が思いついたり、商品開発のアイディアが浮かんだりすることが期待できます。障がい者雇用によって、お互いの個性を認め合えたり、理解を深め合えるコミュニケーションを学べたりするメリットも期待できます。そして、新たな企業とのつながりをもてる可能性もあるのです。
障がいのある方に活躍できる場所を提供できるのはもちろん、周囲のスタッフが視野を広げていく必要性に気づき、企業としての成長にもつながります。さまざまな違いがあることを認め合いながら、どのようすればチームとして最大限のパワーが発揮できるのかを考えていくことが重要です。そのような考え方を持つことによって、自然と発想が変わってくるはずです。
障がい者を雇用すると、以下のような助成金を受け取れます。
障がいのある方を雇用した場合の助成金として、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)やトライアル雇用助成金などがあります。職業能力を開発した場合には人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)という助成金を受け取れる可能性があります。
このほかには、障害者雇用安定助成金(障害者職場定着コース)という、職場に定着できるよう措置を講じたときに支給される助成金などもあるのが特徴です。上記のほかにも、さまざまな助成金があり、対象労働者や受給条件を満たしている必要があるため、各種助成金の条件を確認したうえで、活用してみましょう。助成金についての詳細が知りたい方は、当サイトで解説しているため、以下のページでご確認ください。
そこで働く障がい者と雇用する企業の双方に大きなメリットがある農園型障がい者雇用支援サービスですが、もちろん懸念点が全くないわけではありません。農園型障がい者雇用支援サービスで懸念される点についても心得ておきましょう。
企業が農園型障がい者雇用支援サービスを利用する場合、企業が農園の一部区画と設備をレンタル・リースなどで借り受けたうえで使用することになります。したがって、当然ながら農園の利用料は企業が負担することになります。
また、リース契約の場合は途中解約となると、本来の契約期間の料金相当の違約金が発生します。思わぬ支出とならないよう、事前に確認をしておく必要があるでしょう。
企業が借り受ける農園は、通常のオフィスとは異なる場所に存在しますが、当然ながら障がいのある社員とその他の社員がコミュニケーションを図る必要があります。
ビデオ会議などのオンラインツールの活用や、社員が農園へ訪れる研修の開催、社内報やインフラネットなどで取り上げることで全社的に発信し、インクルージョンを活性化させる等、それぞれの企業のやり方でコミュニケーションを図るように計画を立てましょう。
農園型障がい者雇用支援サービスでは、障がい者の就労に精通した専門スタッフが在籍し、作業内容へのアドバイスはもちろん、障がいによる特性を考慮したサポートを行っています。障がい者が働きやすいよう工夫をしているほか、障がい者と企業側の担当者のコミュニケーションに対してのサポートも行ってくれるため、安定した定着率の実現につながります。
そして、企業がサービスの利用をすることによって、多様な障がい者の雇用機会の創出につながり、社会貢献活動をしていることのアピールにもなるはずです。
しかし、サービスの利用においては、企業側が農園及び設備の利用料を負担したり、障がいのある社員とその他の社員が円滑にコミュニケーションを図れるよう工夫したりする必要があります。障がい者雇用を推進していくにあたり、予算の確保や受け入れの準備はもちろん、雇入れ部署と緊密な連携を取ることが重要です。